2010年11月22日月曜日

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『バーチャル建造物に33万5千ドル払った男』

3000万円を一度だけ使って買い物してください。ただしおつりを受け取ることはできません
と言われたらどうしますか?
この質問じつは奥が深いんです。

3000万円分の消費財をまとめ買いする人は少ないでしょう。
おつりなしとなればほとんどの人が3000万円かそれ以上の価値あるモノを手に入れようと考えますよね。
そして・・・そこでだいたいの人がはじめて気づくんじゃないでしょうか・・・金額が大きくなればなるほど単発で買える対象は”指数関数的”に減少していく事実を!

不動産、フェラーリ、有価証券、投機商品、会社(M&A?)、著作権・・・あなたはいくつ思いつきましたか?

世界にはその規模の金額でバーチャルな買い物をする人がいるらしいです。
しかもミリオネアとかじゃないにもかかわらず!

もしこれが漸進的にせよ浸透していくのなら、数十年後にはバーチャル資産は数少ない高額な投資対象の一つになっているかもしれませんね・・・売買市場ができていて、人によってはそれに投資することで資産運用をするような・・・

ひょっとしたらバーチャル資産は高額投資の対象にすでになっているかもしれないというお話。


*     *     *

Meet The Man Who Paid A Record $335,000 For Virtual Property
Oliver Chiang | Forbes | November 17, 2010

『バーチャル建造物に33万5千ドル払った男』
オリバー・チャン|フォーブス|2010年11月17日
抄訳:hiro.senaga



先週、『オンラインゲーム・Entropia Universe内の建造物を63万5千ドルで売却した男』を紹介した。今回はその取引において最高額の建造物を買った人物を紹介しよう。彼はたった一つのバーチャル建造物に実に33万5千ドルも払ったのだ。これはおそらくこれまでのバーチャル建造物取引における最高額にちがいない。

先週、ヤン・パナシューク(Yan Panasjuk)はジョン・”ネバー・ダイ”・ジェイコブとの大きな取引を完了した。ヤンはジェイコブがオンラインゲーム・Entropia内で所有していた人気スポット"Club Neverdie"を買収したのだ。"Club Neverdie"は七つのバイオ・ドーム、スタジアム、(ディスコ)クラブ、ショッピング・モールからなるバーチャルな複合施設だという。これらすべてをヤンは自らが用意したポケットマネー、33万5千ドルで買い取った。「資金確保には苦労したよ」とヤンは明かす。この買収額はそれまでの記録だった33万ドルを抜いてこれまでの最高額となった。これまでの最高額は、Buzz "Erik" Lightyearというプレーヤーが今年(2010年)の1月に同じくEntropia内にあるバーチャル建造物"Crystal Palace Station"を買収したときのものだった。

"Club Neverdie"

なぜ?ヤンはなぜこの実在しない”モノ”に対しこれだけの大枚をはたいたのか?

メールにて問い合わせたところ彼から次のような回答が返ってきた。

「かつて映画が登場したとき、当時の世評はこういった。”モノ珍しいだけでそれ自体に価値があるのではない。商業化を試みてもしょせんそれはブームが過ぎ去るまで”と。先日ぼくの調べによると映画アバターの世界中での興収は27億ドル(約2,241億円@$1=83円)にもなる。最近の例で言うとMTVやインターネットもそうだろう。そして世界規模になったエンターテイメント(市場)にとって次にバーチャル空間がくるのは自然の流れだ。たくさんの人がそのことについて批評したり首を傾げたりしているのは知っている。だけどその流れは実在するし、これは”のちに評価を得ることになった革新的なモノの一つ”に数えられることになるだろう」

これにはお金が関与している影響も大きい。バーチャル空間・Entropiaは通貨システムを導入している。(そして参加者はオンライン通貨とドルを10:1の固定レートで換金することができる)Entropia内のバーチャル起業家たちはすでに稼業を手がけ始めている。冒頭に登場したジェイコブの例でいうと、彼がヤンに"Club Neverdie"を売却する前の時点ですでに、バーチャル・プロダクトやサービスの販売で年商20万ドルを売り上げていた。

Entropiaの中で、ヤンはJohn "Forma" Kalunというアバターとして10年以上も参加している。
「彼は長期プレーヤーだね。ここ数年は目立つことをするわけでもなくひっそりとプレーしていたんだ」ヤンのEntropian仲間のディビッド(David "Deathifier" Storey)は言う。ディビッド自身の2004年にバーチャル・アイランドを2万6500ドルで購入した経歴を持つ。「ヤンも少しは知られる存在になったことは間違いないよ」

リアルのヤンはどんな人物なのか?彼はボストンに住む35歳のソフトウェア・エンジニアとのこと。旧ソ連で生まれ、争乱を恐れた母親に連れられて崩壊前に米国に移住してきた。「6歳をすぎたころからずっとコンピュータやネットそれからそこで得られるいろんな経験に魅了されてきたんだ」とヤンは言う。

Y2K問題が懸念された2000年のはじめ、ヤンは友達の影響でEntropiaを試した。以来、ヤンはその世界に魅了され続けている。
「いろんな面で独創的なんだよ」ヤンはEntropiaをそう熱弁する。
Entropiaではインパクトのあるグラフィックス、色とりどりで多様なコミュニティ空間を楽しめるようになっている。

ヤンも以前からEntropia内でバーチャル建造物を所有していたが、いずれも今回のような高額なものではなかった。
彼は今回の買収の動機をこう説明する。「ひとつにはぼくがこのバーチャル空間でもっと時間を過ごせるようになりたいとおもってたから。いまは週に平均10~20時間を使っているけど、これからはそれを40~60時間に増やしていきたいんだ。できればフルタイムでバーチャル資産を運営していきたいね」
リアルの仕事であるソフトウェア開発にあてる時間はこれから減らしていくのだと言う。

まだ改名もしていない"Club Neverdie"を使った壮大な計画があるのだとヤンは言う。大規模なアップグレードはその一つだ。「どのバーチャル空間にもない独創的なモノにしたいんだ」
アップグレードの詳細をヤンは明かさなかったが、最初のアップグレードは来年(2011年)の2月に登場するとのこと。またヤンは数年以内に、ジェイコブが達成していた年商と同等レベルかもしくはそれ以上の収入を自らの運営でも達成できると考えている。
「バーチャル資産からの収益は運営の質に左右されるんだ。そして運営には忍耐と熱意が必要なのさ。僕にはその二つを投じる覚悟ができてるよ」とヤンは言う。

Entropiaみたいなバーチャル空間の存在自体、客観的には相当ニッチなものとしかみられていない。だが、だれもがみなこうしたバーチャル空間で何かを見つけることができるのだから参加してみるべきだとヤンは言う。「会う人みんなにEntropia Universeに行ってみるように勧めるんだ。どれだけインパクトがあって吹き飛ばされるくらい凄い経験かやってみてよってね」

(了)


Club Neverdieでのイベントの様子を収録した動画 (アップロードされる段階での画質劣化もあるでしょう。現在のグラフィックはかなり改善されてるとのこと)



数年前に話題となったあのSecond Lifeとのトラフィックの比較を見ただけでもEntropiaがまだまだ"アーリー・ステージ”なのは明らか!

「理想・国」なんて気になる名称のプロジェクトも進行中らしいです・・・
それにしてもSecond Lifeもユーザーは安定的に成長していってるんですね・・・この粘りが意味するところは深いとおもうなぁ・・・(hiro.senaga)

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