2010年11月17日水曜日

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『起業家が成功するまで・・・ジンガCEOマーク・ピンカスの場合』

Facebook、Twitterに次いでシリコンバレーの注目をあつめるソーシャル・ゲームのジンガ(Zynga)社。

実体はマーケティング会社ともいわれるこのソーシャル・アプリケーション・プロバイダ頭脳集団を率いるMark Pincus(マーク・ピンカス)とはどのような人物なのか?なぜかれは成功できたのか?

いろんなブログを読み進めていくとこれを見つけました。

ちなみにZyngaのことはほとんどでてきません。それ以前の彼の彷徨ぶりが描かれています。そして彼の起業哲学がどう形成されていったのかも・・・

これを読むと彼もまた人生に苦悩し、踏みとどまり、そして切り開いてきたことがわかります。

とくに最後の一文にあらゆることが凝縮されてるかな。

*     *     *


Zynga’s Mark Pincus: I got kicked out of some of the best companies in America
Kim-Mai Cutler | VentureBeat | Octoboer 24, 2009

『起業家が成功するまで・・・ジンガCEOマーク・ピンカスの場合』
キム・マイ・カトラー|ベンチャー・ビート|2009年10月24日
抄訳:hiro.senaga

(YCombinatorが終日主催しているベンチャー・スクールの会場から投稿していることと、マーク・ピンカスの気の向くままに話すスタイルがあいまって文章がすこし散文気味になっています)

大学卒業後に就職したところからピンカスは話し始めた。最初のキャリアがとくに変わっていたわけではない。まず銀行に就職した。それから彼はMBA取得のために大学に戻る。

「ぼくはサラリーマンとしては全然うまくいかなかったよ。実際、アメリカで超一流って言われている会社のいくつかをクビになったしね」

「28か9(歳)のころにはボロボロさ。それで最初の会社Freeloaderを始めたんだ。ぼくからのアドバイスはね、最初にまずゴールを設定すること。最初ぼくは稼げることだけを証明したかった。だから自分自身を株でたとえるなら空売りしたんだ。失敗してもそれでいいって思えるように考えたってわけ(訳注:空売りの場合、株が値下がりすることで利益が生じる)」

それから彼は会社を育て上げ、売却した。

「めちゃくちゃだったね。CEOやってるやつはイカレててさ・・・彼がどれだけイカレてたかはしゃべらないけどね。ああヨッシー(Yossi)はかわいそうだな。彼はそのCEOのしつけ役をしてるんだ。まともかく、ぼくは会社の成功に貢献したし、みんなも評価してくれた。だけどそれから得られるものはほとんどなかったんだ。もちろん投資家は喜んだ。これからも起業家としてやっていける資格だけかな。手にいれたのは。そのころ自分の口座には8000ドルしかなかったんだ。もちろん会社はじめたきゃすこしは貯蓄がないといけないよ、だれでもね。それでその8000ドルをすべてつぎ込んで三銘柄のネット株を空売りしたんだ。それが四倍ちかくまで上昇しちゃったてさ・・・。すっからかんさ」

「だからそのあとしばらくはクレジット・カードを使ってさ・・・みんなやるだろ。そんなころ最初の会社が3800万ドルで売れた。自分の持ち株をどうしたらいいかわからなかったよ・・・もちろん3800万ドル分もあるわけないよ。会社が売れると幾らもうかったんだってみんな訊くけどさ、ほとんどの関係者はわずかな持ち株しかないんだよ。まあでもキャリアに箔(はく)はついたね。それでその会社の移動に合わせてサンフランシスコに移り住んだってわけ。ネットの総本山って印象だったな。しばらくは特になにもしなかったんだ。みんなも一度はそうすべきだとおもうよ。それからこれまでとは違うタイプの仲間たちと付き合うようにしたんだ。つるんでたのはみんな金がなかったね。たとえば夜中の1時半に出かけて知り合ったヤツが翌日には部屋に居座ってんだ。数か月もするとそれもおもしろくなくなったけどね」

「そんなことやってると自然に気づき始めるんだよ。金を稼ぐために外に出かけてるのが本当の目的なんかじゃないんだって。なにか別の動機があるはずなんだってね。なにか手掛けてたことがカタチになりだすとさ、あれ?おれが本当に目指してたのとは違うなって気づくんだ。それでよくよく考えたら、ぼくが本当にやりたいことは凄い会社を作ることだったんだって。それからは時間のすべてを注ぎ込んでさ、結果的にそれらがSupport.comって会社の設立につながっていくんだけど。(訳注:Support.com社はオンラインでテクニカル・サポートを行う会社。現在米国ナスダック上場銘柄)これは聞くとおもしろいよ。ニーズなんかないっていわれているサービスを始めたのさ。ニーズがないって気づいたのはラッキーだったね。ジョン・ドーアにはすぐポシャるなんていわれてさ。(訳注:ジョン・ドーアはグーグルやアマゾンに初期のころから投資をしたVC、KPCB社の共同経営者)この”見放されている”ことがとても重要だったけどね。(訳注:競争が不在だったからの意)」

「ちょっと話はそれるけど、友達の一人にデート番組(お見合い番組)が好きなやつがいてさ。起業はリスクがつきものって考えててね、このデート番組みたいなアイデアにずっと固執してるわけ。でこのアイデアにいつか世界が追い付いてくるみたいなね。彼らは意固地になることと成功する起業を勘違いしてるんだ。こういうタイプとも付き合ってるとね、たとえば彼らが資金調達に失敗するじゃん、実はそれがいいアイデアだってことを意味してる場合もあるんだ。もちろん逆もあるけれど。だからあるアイデアを思いついたら5~7人の友達にきいてみるべきだよ。そんなビジネスをやってる会社の株を君だったら買うかい?ってね。最初はきづかってみんないいアイデアだよっていってくれるかもしれないからそこらへんの含みは気をつけないとね。でも数人に意見を求めるのはまるで自分個人のための取締役会があるようなものさ」

「まとにかく最初に思いついたアイデアは悪かったけど、それをいい仕組みになるように変えていったのさ」

「せっかく作りあげた会社が気づいてみると本当に働きたい職場じゃなくなることってあるんだってわかるようになった。たとえばベンチャー・キャピタルから資金を援助してもらったりするとさ、ほんとうに没頭しているビジネスを手掛けてでもいない限り、社内では言いたいことも言えなくなるしね。だいたい彼らはね、会社が組織としてできることにこそ価値があるんだ、君は大会社を経営した経験なんかないだろう?とか言ってくるんだ。そしてCOO(業務執行責任者)を雇おうとか言い出すんだよ。しぶしぶ同意してみるじゃん、自分の仕事を代わりにやらせるためにさ。そして気づくんだ。まだ20代そこそこの若造のために働いてくれる世界トップクラスのCOOなんてどこにもいないってことをね。ま、君がザッカーバーグなら別だよ。でもおそらくそうはならないでしょ?」

「そして気づくんだ。自分はもういいやって。そうなったら楽しいことなんてゼロだよ。それから次は大体魔女狩りが始まるんだ。ベンチャーキャピタルの駆け出しの若造がきてさ、みんなを集めて会議をひらいて”みんな君のリーダーシップに疑問を抱いている”って始まるのさ。会社はうまくいってても創業者である君はトップから引きずりおろされることもある。そこに変なヤツがCEOとして新任してくるんだ。会社の雰囲気も一変する。気づいたころには時すでにおそしで君は出発点に逆戻りってワケ。家にいて昔の仲間と酒飲んだりしてさ。結婚して家庭持つってパターンもあるだろうな」

「まそんなかんやでぼくはまたその会社から離れることになった。悶々としながらね。また考え始めるわけ。みんなの生活に影響を与えるような凄いモノを作りたかったんだ。届かないくらい大きな目標だった。だけどぼくはその目標にむかっていったんだ。いろんなことを考えた。どうやったらそこに到達できるかね。目標は高く、だけどたどり着くためには何事も厭わないってやつさ。そして気づいたんだ。何かすごいネットサービスを作りたかったら自分の自助だけでやるしかないって!」

「みんなが起業をめざす理由も部分的にはそうじゃない!?自分の人生を誰かに操られてるなんてまっぴらごめんみたいなタイプでしょ。自分でがんばってそれでうまくいくならよし悪くてもよしみたいなね。でも二つだけぼくには必要なものがあった。ひとつは資金だ。世の中ね、お金だけ先に渡してくれて数年後に調子はどう?なんていってくれる親切な人はほとんどいないだろ。だからすぐ利益を出せるビジネスモデルを手掛けるべきだって思ったね。2007年のことさ。ビジネスするんだったら儲かることをやる。豪華なオフィスなんてないよそんなの。努力して使えるモノやヒトを組み合わせていくんだよ」

「ちょっと端折って先に進もう。ひとつが自分の人生をコントロールすること。そして稼いでたら、創業者は取締役会をコントロールすることもできるんだ。これを起業家はよくまちがえちゃうんだけど。取締役会をコントロールすることが大事。会社の価値なんてそのつぎさ」

「自分や自分の会社の価値なんて気にしてどうするんだ?エゴでしかないよ、そんなの。そんなの気にしたって最終的にはさ、会社が抱えているお客よりも、上場したら現在価値はいくらになるかってことを気にかけてる連中によって決まっちゃうんだから。ひと月近くもそんな連中と一緒にランチしながら自分はこうしたいああしたいって説得してさ。何をしたいじゃなくて何をするって説明にすれば少しははやくことが進むけどね」

「二番目に必要だったのは有能なCEOにならなきゃいけないこと自覚することさ。世界にインパクトのあるビジネスを売り込もうとするんだったら起業家であることよりも有能なCEOであること。これはとても重要だ。アイデアや戦略のことだけをいってるんじゃないよ。興した会社がうまくいくんだったらメンバーも10人以上は集まる。10人いれば有能な起業家になれるよ。社員が100人や1000人になったら”ぼくは起業家だから”ではすまなくなる」

「いつも学ぶんだ。もっとうまくいかせるためにね。世界クラスの(ウェブ)サービスを創りたかったら、そうだなおそらく10年は失敗と学習が必要だ。そしてそれを一年で取り戻すのさ」

(了)

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